弘文堂

賢治ワールドを旅するエンサイクロペディア

豪華執筆陣が集結し、179のテーマで新たな賢治像を描き出す

賢治は何を考え、どのように生き、数々の作品をいかにして生み出したのか

いまなお読み継がれる宮澤賢治

いまなお読み継がれる宮澤賢治。小学校から高校まで教科書に載っている賢治作品は、多くの人に愛されてきました。マンガやアニメなどその影響は広範囲に及び、世界各国での翻訳も進んでいます。昨今は、エコロジーの視点からも注目されています。

原稿の徹底的な調査に基づく度重なる宮澤賢治全集の刊行とともに、多方面からの研究も進み、重層的な賢治像が明らかになってきました。

本事典は、宮澤賢治の思想の背景をなす多彩な知の世界、独自の作品世界、その人柄と生涯を、第一級の執筆陣が解説項目と魅力的なコラムによって描き出しています。これまでになかった視点による、総合的な「宮澤賢治の世界」です。

天文・気象・地学・動植物などの自然科学、宗教・哲学・博物学などの学芸、賢治自身の生活、あるいは賢治の作品世界を支える世界観、賢治が生きた時代背景、交流のあった人物、さらには作品がどのように享受され評価されてきたか、等々、どの項目をとっても、生きた賢治が息づいています。

  • 宮澤賢治の真価を世界がたしかめる時がきた

    • 【編集委員】天沢 退二郎
    • (詩人・仏文学者・児童文学作家・翻訳家)

    宮澤賢治の人と作品は、生前は多くの人の知る所ではなかったが、草野心平のような具眼の詩人や、弟清六の理解と献身により、歿後殆ど直ちに、少なからぬ読者に迎えられ、昭和十年代から二十年代にかけて、広く愛読されるようになった。そして二十世紀後半には、本格的全集が次々に刊行され、海外でも翻訳・研究の輪が広がって世紀があらたまり、今日に到っている。とりわけ二十世紀末の約二十年間、新全集による自筆テクストの細部や各種資料の全面的公開を俟って、賢治の人と作品はいよいよ、本格的に、学問・研究の対象となる機運を迎えた。加えて、世界はコンピュータ時代に入り、情報処理の手段と理論も飛躍的な局面を呈している。すなわち、《宮澤賢治》の仕事が私たちの未来にさいわいをもたらす確信と真価を、世界がたしかめる時がきたのである。

    《宮澤賢治》の大いなる特質は、その多様性と汲めども尽きぬ謎と魅力の深さにある。それゆえ、ここに多くの領域の研究者・専門家の参加・協力を得るとともに、これまで積み重ねられた研究成果をただに整理するのではなくて、むしろ、未来へと開かれる研究への指針、展望、進行中の試行錯誤の検討や、全く未着手の領域の手さぐりをも、これからの読者・研究者のみなさんとともに求めたいと願っている。

  • 賢治が求めたものを体系的に解き明かす

    • 入沢 康夫
    • (詩人・フランス文学者)

    宮澤賢治は、その生涯にわたって、「本当のしあわせとは何か」を求めつづけた。単に人間界だけでなく、大宇宙的な規模で、この世界のありとあらゆるものの「本当のしあわせ」を科学と宗教の合一を目指す立場から見出そうとした。このたび編まれる『宮澤賢治イーハトヴ学事典』は、そういった賢治の生涯と広く深い営為との、さまざまな局面を網羅しつつ体系的に解き明かす、極めて有力な手がかりを提供することになるに違いない。

  • 賢治的な英知のために

    • 斎藤 文一
    • (新潟大学名誉教授)

    賢治は「おれはひとりの修羅なのだ」と書いたことがある。実はそれがただものではないのだ。この修羅空間は極微のエレメンタリー・ライフから銀河系にまでも及ぶ。本『事典』は第一級の専門家を結集し、選びぬかれた項目と詳細な語句索引をもって構成された画期的な成果である。当分これ以上のものは望みえないであろう。今生命の永遠と再生のために賢治的な英知が求められていると思う。本書は力強くそれに応えているのである。

構成とテーマ

  1. I. 【イーハイヴ学】宮澤賢治の作品世界
    • 世界の基礎概念
    • 自然界
    • 学芸
    • 時代の影
  2. II. 【人物研究】宮澤賢治の人柄と生
    • 詩人との交友
    • 没後史
  3. III. 【テクストと評価】
    • テクストと出版
    • 享受・評価史
    • 文芸学における位置
    • 海外における翻訳と評価
  4. IV. 人名
  5. V. コラム
  6. VI. 付録

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